『教育心理学年報』のパーソナリティ領域のレビューを執筆させていただきました。近年抱いていた問題意識である、現代社会における「よい/わるい・よわい」というパーソナリティ観について改めて自分の中で整理し、今後の展望を考えることができました。
《要旨》
本邦におけるここ数年のパーソナリティ研究の動向を2つの観点から概観した。第1に,ビッグ・ファイブを用いた研究を網羅的に概観し,それらの研究の領域的・国際的な拡がりを確認するとともに,それらの知見の適用に関する限界について言及した。第2に,敏感さやダークトライアドといった,病理や不適応と親和性の高いパーソナリティに関する研究を取り上げ,そうしたネガティブな特性のもつポジティブな側面に関する知見について検討した。それらを通して「よい/よわい/わるい」性格の多様な側面に目を向けるなかで,多様な個人の共存に向けたパーソナリティ研究の必要性が議論された。
《論文題目》
平野真理(2021). パーソナリティ研究の動向と今後の展望――ビッグ・ファイブ、感受性、ダークトライアドに焦点をあてて―― 教育心理学年報, 60, 69-90.
Comments