レジリエンスの予防的介入に関する論文が公開されました。レジリエンスの資質の少ない人に対しては、日々の小さな達成を確認できるようなワークが効果的である可能性が示されました。
《要旨》
レジリエンスの向上を目的とした予防的介入プログラムが多く開発されている一方で,その効果には個人差があることが指摘されている。本研究は,もともとレジリエンスの「低い」人々が,自らのもつ資質を認識することでレジリエンスを育むことを目指したアプリケーションを開発した。予備研究の結果を踏まえてアプリを開発し,実施群150名(男性50名,女性100名;平均33.62歳,SD = 7.6)および統制群150名を対象とした1ヶ月間の効果研究を行った。その結果,実施群においてのみ,アプリの利用を通したレジリエンス尺度得点の向上が有意に示された。さらに,レジリエンス尺度得点の低い群においてのみ自尊感情の向上が示されたことから,レジリエンス尺度得点の低い人々にとって,日常の小さな自分の達成や喜びを振り返るようなワークが,効果的に自尊感情を向上させる可能性が示唆された。
《論文題目》
平野真理・小倉加奈子・能登眸・下山晴彦 (2018). レジリエンスの自己認識を目的とした予防的介入アプリケーションの検討―レジリエンスの「低い」人に効果的なサポートを目指して 臨床心理学, 18(6), 731-742.
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