レジリエンス教育に関する紀要論文が公開されました。他者から「ほめられる」ことを受け入れる力が、自己の肯定的評価につながることが示唆されました。
http://doi.org/10.20838/00011880
《要旨》
レジリエンス教育においては,自らの肯定的側面の認識を促す取り組みが行われることがあるが,日本人にとって自 己の内的特性を肯定的に評価するワークはなじみにくい場合があり,相互協調的自己観に合わせた内容の調整が求めら れる.そこで本研究では,女子大学生 87 名を対象に,自分の「強み」を評価するワークと,他者と共にお互いの「強み」 を評価し合うワークの両方を含むレジリエンス教育を実施し,日本の女子大学生における自他の肯定的側面の評価の特 徴を確認したうえで,「他者をほめること」「他者からほめられること」が,「自分をほめる」力の向上につながり得るか を検討した.その結果,他者からの「強み」の評価を受け取る力が,自らの「強み」評価をスムーズに行う力につなが ることが示唆された.また,他者からの評価の受け取りについての認識と感情的反応についての質的分析から,ポジティ ブ感情につながる要素が見出だされた一方で,葛藤的感情が生じる得ることも示唆された.これらの知見から,関係性 の中の自己という文化的特徴を持った日本におけるレジリエンス教育の工夫の視点を得た.
《論文題目》
平野真理 (2019). 他者をほめること・他者からほめられることを通した自己の肯定的評価―日本人女子大学生に効果的なレジリエンス教育にむけて― 東京家政大学研究紀要人文社会科学, 59(1). 61-70.
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